『お金2.0』を読んでから、すっかり佐藤 航陽さんにハマってしまった。
この人の考え方やモノの見方が好きでもっと学びたいと思ったから、数年前に出版されている前著『未来に先回りする思考法』も読んでみることにした。
本書の冒頭ではテクノロジーの発展について書かれていて、近年話題になっている人工知能(AI)についても触れられている。
インターネットが生活インフラとして定着し、様々なデバイスがインターネットと繋がり、クラウド上に膨大なデータ(ビッグデータ)が溢れた結果がAIの急速な発達に繋がった。
今までは膨大なデータがあったとしても処理しきれずビジネスに生かせていなかったが、AIの登場によりビッグデータからビジネスに繋がる価値を生み出せるようになった。
実際に膨大なビッグデータをAIに学習させ、ビジネスに繋がる一定のパターンを見つけ出す際は以下のようなプロセスを通過するらしい。
例えば、AIにその対象が人間かどうかを識別させるためには、人間の特徴を膨大な写真データなどから『学習』させ、人間特有の『パターン』を認識させる必要がある(ex:目がふたつあり、鼻がひとつで、髪の毛が生えていて、口が動くなど)。
その認識した『パターン』に基づいて、おそらく対象が人間だろうという『予測』を立てたうえで、決められている動作を『実行』するというわけだ。
僕はこのプロセスを知った時、セラピストが臨床力を高めるときも同じ過程を通過すると感じた。
僕たちセラピストはよく臨床教育のなかで、『個別性を大切にしなさい』としばしば言われる。
確かにその人の性格やこれまでの人生背景は一人一人異なり、個別性を考慮した上で関わることは大切だ。
しかし、身体面でいうと『片麻痺の人はこんな症状を呈することが多い』『頸部骨折術後の人はこんな症状を呈することが多い』など、臨床でよく見られるパターンは確かに存在する。
パターンばかりに当てはめるのは良くないが、ある程度のパターンを理解しておくことは『予測』を立て、治療プログラムを『実行』する際に役立つ。
特に1〜3年目の若いセラピストは臨床経験の乏しさゆえ症例数の絶対数が少ないため、一人一人の患者さんに真摯に向き合い『○○(疾患名)の人は、こういうパターンを呈することが多い』みたいなパターンを見つけ出すことに力を注ぐと良いと思う。
そのようなベースがあることによって、パターンに当てはまらないイレギュラーなケースに早期から気付くことができ、適切な治療プログラムに変更することができる。
このような経験は誰にも奪われることのない臨床の生きた知恵となり、今後のセラピスト人生の財産となる。
だから、特に1〜3年目のセラピストは以下のようなフローチャートを臨床の中でぐるぐる繰り返していくと良いと思う。
これを3年間続けることができれば、どこに出ても通用するセラピストになることができる(たぶん)。
僕は無意識的にだが、このような思考過程で臨床経験を積んできた結果、引き出しが増えて幅広いケースに対応することができるようなってきた(まだまだ未熟だが…)。
このような考え方で培ってきたものをベースに、1〜3年目のセラピストにも理解できるようにアレンジしたものをdrawerセミナーでは伝えているというわけ。
職場の先輩からこのような考え方を教えてもらっていない若手セラピストが多いらしく、セミナーで伝えると本当に喜ばれる。
ブログの読者で後輩を指導する立場にある人は『自分で考えなさい』と言って突き放す前に、今まで書いてきたことを参考に、後輩自らが『予測』を立てて『実行』に移せるだけのベースとなる部分を伝えたらどうだろうか?
もしそれで上手くいったら後輩の成功報酬となり、成長するキッカケにすることができる。
たとえ上手くいかなくても、Try&Errorを繰り返していく過程を支えていけばきっと臨床が楽しくなり成長するキッカケとなる。
今回のブログが、臨床能力が伸び悩んでいる若手セラピストや後輩指導にあっているセラピストにとって何かの参考になれば幸いだ。
なお、このような考え方は完全に私見なので悪しからず。